■2014年3月15日(土)「失われた森」読書会報告
『失われた森』 9.失われた世界
2014年3月15日(土) 10:30〜12:30
日比谷公園 緑と水の市民カレッジ
参加者 14名
担当:小川真理子
『われらをめぐる海』の出版資金をねん出する必要のあったレイチェルは、1章書くごとにそれを売る、という戦略をとった。なかでも「島の誕生」について書かれた章はレイチェルもとても気に入っていたようだ。それをまとめて全米オーデュボン協会の会誌に発表したのが、この「失われた世界」である。しかし、『われらをめぐる海』の中の「島の誕生」と比較してみると全く同じではない。「島の誕生」はその名の示す通り、大洋の真ん中にどうして島ができてきたか、最初は不毛の地だったその島にどのようにして生物が存在するようになってきたかという話が中心だった。「失われた世界」はもちろんそういう説明もあるが、むしろできあがった島の生態系が非常に微妙なバランスの上に立っているのに、人間が入ってくることによってその貴重な動植物が失われていった歴史を怒りを持って書いているということがわかった。
貴重な生物資源が失われようとしているのは現代も同じで、今の世界でどのくらい絶滅危惧種がいるか見てみると、哺乳類では現存種の約21%、鳥では13%、両生類では29%が絶滅が危惧されているという。日本はそれ自体が固有種の多い島国であるし、その中に島も多い。固有種を保護することが大切であると感じた。
(小川 記)