■2014年7月19日(土)「センスオブワンダー」読書会報告

 

『センスオブワンダー』 

2014年7月19日(土) 10:30〜12:30
日比谷公園 緑と水の市民カレッジ
参加者 14名
担当:多田 満

 多田さんは『センス・オブ・ワンダー』の冒頭の文章、
 ある秋の嵐の夜、わたしは一歳八か月になったばかりの甥のロジャーを毛布にくるんで……わたしは、その場所、その瞬間が、なにかいいあらわすことのできない、自然の大きな力に支配されていることをはっきりと感じとりました。
を引用され、今西錦司氏の「われ感じる、ゆえにわれあり」という言葉の根底に流れる思想との共通点を指摘された。また日本人の感性は、3つの調和(自然との調和、人との調和、自然に宿る神との調和)に特徴があり、センス・オブ・ワンダーを基本的に持っている国民だということだった。

 また、カーソンの思想を形づくるものとして六つのセンスがあげられる。
1. 神秘さや不思議さに目を見はる感性 sense of wonder ※
2. 生命に対する畏敬の念 sense of respect ※
3. 自然との関係において信念を持って生きる力 sense of empowerment ※
4. 科学的な洞察 sense of science
5. 環境破壊に対する危機意識 sense of urgency ※
6. 自主的な判断 sense of decision
 (※は、ダイアナ・ポスト「カーソンの思想を語り継ぐ」の4つのsense)
  この6つのセンスをつなげて「別の道」へとつながっていく過程が図で示された。

  この後の議論では、日本人の一般市民はセンス・オブ・ワンダーを持っているが、為政者たちはどうも持ち合わせているように見えない、ということが言われた。
 また、自然に触れることが少なくなって、子ども以前に大人たちが虫を触れなくなったりしている、情報に左右され、自分の感性を信じることがない、などの話題があった。
 福島の原発事故の経験をふまえて「べつの道」(脱原発依存の社会)を模索するには、自然界のみならず人間社会のさまざまな矛盾や課題を敏感に捉える感性が必要であり、このような感性を持つ人々がひろく社会に広がっていくことが必要と言えよう。
 今日の読書会の講演と議論を通じて改めて、カーソンの『センス・オブ・ワンダー』は、現代社会に生きる我々に対して時代を超えて力強いメッセージを発信しているとの感想をもった。

                  (文責 井上、小川)