■2014年8月16日(土)「センスオブワンダー」読書会報告
『失われた森』
第21章フリーマン夫妻への二通の手紙(1956年)
第31章ドロシー・フリーマンへの手紙(1963年)
日比谷公園緑と水の市民カレッジ
参加者16名
担当 岩渕徹郎
猛暑しかもお盆時期で開催も危ぶみましたが、初参加を含め大勢の参加と解説など発言も活発な読書会でした。ご協力まことにありがとうございました。
来年(2015年)はレイチェル・カーソンの最後の著作THE SENSE OF WONDER発刊50周年イベントを開催しようという計画があり、読書会でも本年7月以降 センス・オブ・ワンダー(上遠恵子訳)を対象にしています。
今月は従来取り上げてきた『失われた森』…レイチェル・カーソン遺稿集…で省いてしまうのは惜しく、 かつ、センス・オブ・ワンダーにも繋がるのではないかと考え、カーソンのフリーマンにあてた三通の手紙(第21章と31章)を皆で一緒に味わうことにしました。
最初にセンス・オブ・ワンダーの舞台で、カーソンの好きな場所(アメリカ・メイン州ニューエイジン)と別荘のあるサウスポート島。所在地や景色、自然環境などを探り当てる事でした。この作業中に会員の勝山久美子さんが素晴らしい地図を作って助けてくださいました。今後も大いに役立つことになると思います。
最初は広角に(アメリカ北東部やカナダ)、次第に望遠(拡大)の方法で高地や海岸、数々の川や湾(淡水を含む)も探り当てられます。
カーソンが1953年にメインの別荘を建て、すぐ知り合い、生涯の友となったドロシーとスタン・フリーマン夫妻にあてた手紙を説明するのは私には無理でしたので5人で廻し読みをしました。 1956年春の大潮(新月)の日、別荘の前の海で見た海蛍(甲殻類)と蛍(甲虫類)との光の交信、同年晩秋(別荘を去る月)夕暮れ時に見た水鳥の大群や日没後双眼鏡でカモを追って、空と紛らわしい鎌の形をした大きな新月を見つけた、センス・オブ・ワンダーを私でも感じたようです。
31章のドロシー・フリーマンへの手紙(1963年)はカーソンが亡くなる半年前の
9月、ドロシーと一緒に見たモナーク蝶(オオカバマダラ)の渡りの姿を回想しています。短い命の蝶が遥か遠くまで渡りを繰り返し、永遠に繰り返す生命の営みを、
「生命の終わりを迎えるのはごくあたりまえで、けっして悲しいことではありません。」
と自らの命が残り少ないことも含んだ有名な手紙です。
(岩渕記)