■2017年2月18日(土)

    



自然を語る会
2017年2月18日(土)10:30〜12:30
     於、日比谷公園 緑と水の市民カレッジ
参加者 12名
担当 柳澤征克さん 


ポール・ブルックス著の「レイチェル・カーソン」の13章『海辺』から を読んで
話し合った。
13章は12月に前半を行ったので、その後半である。海にはいろいろな生き物が
住んでいるが、それぞれどんな環境かによってそこに生息するものも違ってくる。
例えば潮流は長い距離にわたって大量の水を運ぶが、潮流内部での温度変化が少ない。
アメリカの東海岸には暖かいメキシコ湾流と、その内側に冷たいラブラドル海流が
流れているが、特にコッド岬は冷たい海流を抱き込み、暖流を遮るように突き出して
いるので、多くの生物種を見ることができるそうだ。メキシコ海流はその後大西洋を
横断してイギリスのほうまで進むので、多くの海藻や海生動物が両地域で見られる。
一方ラブラドル海流は北のほうから流れてくるので、イギリスよりも北極との結び
つきが大きく、そこには北極ケルプなど北の生物が多く見られる。
1930年ころから、気候の変化によって生物が北上しており、コッド岬までしか見られ
なかったワタリガニやニシンなどがより北の地域で見られるようになった。
本を交代で読みながらの話し合いだったため、内容がよりよく頭に入った。
それにしても、地球規模の海流とそれに乗って動いていく生き物たちの営みの話で、
壮大なスケールに圧倒された。アメリカの地理にうといので、文章だけではわかり
にくかったと思う。担当の柳沢さんが地図の上にイラストで海流や生き物の動きを
描き込んでくださったので、納得できた。
本文中での生き物の北上は60年も前の話だ。そのころからカーソンは気候変動の意味
をよく分かっていたのだと改めて驚いた。さて、最近はどうなっているのだろうか。
メイン州の地域新聞の記事が紹介されたが、それによるとメイン州は特に温暖化が
加速しており、盛んだったエビ漁もできなくなって漁場が閉鎖に追い込まれたとか。
上遠さんがメイン州に行かれたころはそこら中にザリガニレストランがあって、
おいしかったとのことだが、もう今では食べることができないのだろうか・・・
ゆっくりと進んだため、13章の途中で終わってしまい、3月に持ち越しとなった。
後半もまた楽しみだ。
また今回は4月から大学生となるTさんも参加してくれ、千葉での漁の変化について
紹介してくれた。若い人たちの中にもこのように深く環境について考えてくれる人
がいると、心強く感じた。

文責:小川真理子