■上遠 恵子からのメッセージ 


〜コロナ疲れには「センス オブ ワンダー」を〜

 今年も、ピンクのシャクナゲが見事に咲きました。新型コロナウイルス騒ぎで閉塞感に疲れた心に慰めを与えてくれます。このシャクナゲは、50年以上前に母の故郷である奥久慈の山から小さな株を持ってきて植えたものです。それが今は、大きな株になって庭の真ん中で存在感を発揮しています。
 私は、レイチェル・カーソンの「センス オブ ワンダー」の一節を思い出しました。
 ”鳥の渡り、潮の満ち干、春を待つ固い蕾の中には、それ自体の美しさと同時に、象徴的な美と神秘がかくされています。自然がくりかえすリフレイン ー 夜の次に朝がきて、冬が去れば春になるという確かさ ー の中には、限りなく私たちを癒してくれる何かがあるのです”

 私は、コロナ疲れには、自然に触れることが一番の癒しだと思っています。
といっても外出自粛ですから出かけることはできません。そこで、定点観察のおすすめです。お庭があればその一箇所を「マイ プレイス」と決めて毎日、観察するのです。庭がなければ、よそのお家の一本の木でも、道の隅っこでもいいいので決めておきます。毎日見ていると、結構変化があります。数年前から私のマイ プレイスには いつの間にかタツナミソウがやってきました。
 タツナミソウは、私のお気に入りの野草です。今年も小さな白い花を咲かせています。
「センス オブ ワンダー」にかいてあるように臭覚、聴覚、触覚、味覚を研ぎ澄まして クンクンしたり、シーっと耳をすませたり、木によって肌触りが違い温度まで違う感じがします。そして味覚、手元にあるものを利用しての創作料理は奇妙奇天烈であっても面白いものです。
「センス オブ ワンダー」を駆使してこの困難な時期を乗り越えましょう。
(facebookより 2020年4月18日)
 

■上遠 恵子のプロフィール

東京都出身。東京薬科大学卒業。研究室勤務、学会誌編集者を経て、現在エッセイスト。
レイチェル・カーソン日本協会理事長。
レイチェル・カーソンの著作物の訳書に『海辺』(1987年、平河出版社、原題The Edge of the Sea)、『潮風の下で』(93年、宝島社、Under the Sea-Wind)、『センス・オブ・ワンダー』(91年、祐学社、96年、新潮社、The Sense of Wonder)など多数。
訳書としてほかにF・グレアム著『サイレント・スプリングの行くえ』(70年、同文書院、Since Silent Spring)、P・ブルックス著『レイチェル・カーソン』(『生命の棲家』改題、74年、新潮社、The House of Life: Rachel Carson at Work)、C・スコールズ『平和へ』などがある。
上遠が出演するドキュメンタリー映画「センス・オブ・ワンダー:レイチェル・カーソンの贈りもの」は全国で上映会が開催された。